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ハートレイトモニター


ハートレートセットを考案したオーストラリアのボブ・トレフィン博士の開発したハートレートモニターで、選手の体にコードの付いたスポンジを当てるだけで、瞬時に心拍数が計れます。

ハートレイトモニター


1996年と1997年に来日講演を行ったトレフィン博士の講演内容を簡単にまとめたものです。
古い文章ですが、ご参考にしてください。     

<トレフィン博士のハートレイトセット>

ハートレイトとは、日本語でいうと心拍数のことです。みなさんも練習中に何度か測ったことがあると思います。この心拍数とタイムのデータより選手の適応段階を知り、試合で選手の実力を100%発揮させる、というのがこの練習のポイントです。「適応」という言葉がでてきましたね。「適応」とは何でしょうか?よく言われる例えで説明しましょう。皆さんがバットをもって素振りの練習をしたとします。がんばってやると手が痛くなって続けることができなくなります。でも、何日か経過すると、 手の痛かった部分が堅くなり、前よりも多くバットを振っても手が痛くなくなります。このとき、手がバットを振る運動に「適応した」といいます。 みなさんがプールで練習しているときも、このような適応段階があるわけです。その適応段階を知るために、タイムとハートレイトを記録していきま す。今現在、自分が適応段階のどの位置にいるかによって、試合でいいタイムがでるかどうかが予測できるようになります。先ほどのバットの素振りを例に挙げ ると、適応していく段階の途中で、手が痛くてバットが振れない時に野球の試合があれば、打つことができませんね。でも、何日か後に試合があれば、以前より 鋭いスイングでホームランが打てるかもしれません。 このように、適応段階の途中には一旦レベルが下がってからレベルが上がる、という事が起きてきます。この事を把握することでレースで100%実力を出すということもハートレイトセットの目的の一つです。

<選手の最大心拍数を測定する>
オーストラリアのトレーニングは全てこの選手一人一人の最大心拍数をもとに、そのワークアウトが組まれています。 「最大心拍数の測定?」「最大心拍数は220−年齢でないの?」と思った人もいると思いますが、トレフィン先生は最大心拍数は一人一人違い、しかも先生が指導している多くのメダリストは、先生が受け持ってから数年間変化していないそうです。 例えばパーキンス選手は最大心拍数が181、ライリー選手は201と年齢や性別に関係なくそれぞれ一人一人違うのです。このことを知らずに練習すれば、例 えばこの二人が175の心拍数で練習すれば、一人にとってはハードで、もう一人にとってはイージーな練習となっているということがいえます。 コーチが、今はグリコーゲンをエネルギーにして泳がす練習をしたい、または脂肪燃焼をエネルギーにした練習をしたいと考えたとき、選手全員に同じ心拍数を指示しても、ねらいどうりの練習にならないということです。 コーチは選手の最大心拍数をもとにして、心拍数を指示しなければいけません。
 さて、今回は前回トレフィン先生が来日公演を行った時に岐阜、名古屋会場のプールで実際におこなった、最大心拍数の測定方法を紹介します。この測定にはトレフィン先生が開発したハートレイトモニターを使用し測定を行いました。

        200m × 5t     5’

 この日行ったのは200mを5本、5分サークルで行いました。コンスタントに1本づつ一定の速度でディセンディングしていきます。ちょうどエアロ バイクなどで一定した速度で足を回し、何分かごとに負荷をあげていくような測定を水泳のセットで行っている、とイメージすると理解しやすいでしょう。この 測定では、この5本目の心拍数をその選手の最大心拍数としていました。だいたいの選手がこれで正しい最大心拍数を測定できるそうです。中には最大心拍数に 至っていない選手もいると考えられますが、そのときはハートレイトセットなどきつい強度の練習時に、これより高い心拍数がでますから、それを最大心拍数と すればよいとのことです。先生の研究では、選手の最大心拍数は変化しないわけですから、1,2回訂正がある選手がでても、ほとんど1度測定すればあとは必要がないようです。
 ちなみに先ほどパーキンス選手の最大心拍数が181と紹介しましたが、彼を7年間指導して、その心拍数は181を越えたことは1度もないそうです。 ここで、講演会でもあった質問ですが、最大心拍数の高い低いで選手の能力に違いがあるのか?という疑問がでると思いますが、先生の答えはNO、まるで関係ないそうです。それはパーキンス選手が世界記録保持者でありながら181という低い最大心拍数であることからも理解できますね。 あなたもまずこの最大心拍数の測定をまず行ってください。これをもとにこれからハートレイトセットをおこなっていきます。

<クリティカルスピード>
クリティカルスピード?はじめて聞く人も多いと思います。実はトレフィン博士の文章を訳すのにもっとも困った言葉 がこのクリティカルスピードです。 しかも、文章中かなりの頻度で何度もでてきます。どうやら、このクリティカルスピードが、オーストラリアのトレーニングを理解する上で、大きなポイントになるキーワードであることは、間違いありませんでした。 「クリティカルスピード」直訳すると臨界速度…? 日本語にするとさらによく分かりませんね。ですから、クリティカルスピードのまま訳すことにしました。 「クリティカルスピード」とは初めて最大心拍数に達したときのスピードのことで、「クリティカルタイム」はその速度を100mや200mなどのタイムになおして表したもの、クリティカルスピードに達すると心拍数は最大となり、同時に酸素摂取量も最大になります。

 

簡単なグラフに表すと左の青色の最大心拍数直線と赤色のタイムに対する心拍数の直線がぶつかったポイントがちょうどクリティカルスピードとなります。 これで、秒速何メートルがクリティカルスピードであるかが分かりますが、選手の皆さんには距離に対するタイム、つまり、クリティカルタイムで伝えてあげたほうが、理解しやすいかもしれません。 これでなんとなく、「クリティカルスピード」や「クリティカルタイム」が、だいたいどんな意味であるか理解ができたと思います。

  では、実際にはどのように使われているかというと、例えば、レースペース。

 コーチの皆さんは選手にどのように、レースペースについて指示しますか?オーストラリアのコーチの指示はこうです。「クリティカルスピードで泳げ」。これは、クリティカルスピードと乳酸の発生に関わってきます。このことは説明が大変なので、後ほど詳しく説明します。
 また、オーストラリアでは、このクリティカルスピードが選手の適応段階を予測する指標として利用しています。さらに、トレーニングで中心となる 「ハートレイトセット」は、このクリティカルスピードである一定の時間泳ぎ、その適応を促すトレーニングと言い換えることもできます。 これからの説明にも、クリティカルスピードという言葉がたくさんでてきますので、読まれているうちにもう少しその意味がはっきりしてくることと思います。

<クリティカルタイムとレースペース>
現在では、オーストラリアの金メダリストたちがトレフィン博士のハートレイトセットを行っていることはあまりに有名ですが、そのきっかけとなったトレーシー・ウイッカム選手のお話を交えながら、クリティカルスピードとレースペースについて説明をします。 実は、このお話は「スイミングマガジン」で連載を行う前に、連載第1回目はこの話からが良いのではないかと最後まで悩んだものです。(結局は博士の送られてきたレポートの順番どうりとなったのですが。)
 簡単にお話をまとめると、1977年11月にウイッカム選手の練習にハートレイトセットを導入し、そのクリティカルタイムから、最初はコーチも信じてもらえなかったタイムでウイッカム選手の世界記録の樹立を次々と予想し的中させたというものです。 まず、彼女の最大心拍数185とハートレイトセット中のタイムと心拍数より50mのクリティカルタイム33秒8を出しました。その後、週3回の ハートレイトセットを行い、クリティカルタイム32秒2まで向上させました。この時点でクリティカルタイムのペースで1500mを泳げば16分6秒で泳ぐ ことができると予想しました。しかし、彼女は数ヶ月前のレースで16分45秒のベストタイムをだしたばかりで、このあまりにもかけ離れた予想タイムを信用 することができませんでした。 ところが、次の日練習中に16分22秒を記録し、まもなくレースで16分14秒93という世界記録を樹立しました。そして、つづく3月の試合で 16分6秒63の予想どうりの記録で世界記録の更新をしました。彼女は400,800でも博士の予想したタイムで世界記録を樹立しました。
 博士がおこなった予想には次のような公式が用いられました。

50mのクリティカルタイム=33.2秒
秒速=1.552m
100mのベストタイム=58.5秒
秒速=1.709m
X=1.552m Y=1.709m
 
200m = 400 / X + Y = 2分3秒
400m = 1600 / 3X + Y = 4分11秒7
800m = 6400 / 7X + Y = 8分29秒4
1500m = 1500 / X = 16分6秒

 以上のようにクリティカルタイムから選手のレースのタイムを予想します。では、なぜクリティカルタイムで泳ぐとタイムが予想できるでしょうか? これにはクリティカルタイムと乳酸蓄積量に関係があります。彼女の例をもとに説明すると、彼女は200mをクリティカルタイムで泳ぐとその乳酸値は8m mol/lしかありませんでした。さらに測定をつづけていくうちに、クリティカルスピードを上回るスピードを出さない限り1分間に0.5m mol/lづつふえていくことがわかりました。 このことから彼女の最大乳酸値16m mol/lには16−8 / 0.5 = 16分となり、16分しないと達しないことがわかりました。
 ここで大事なことは、クリティカルスピードで泳げば1分間に0.5m mol/lなどのように乳酸蓄積量は安定して増えていくということです。これは乳酸発生率と除去率に関係します。(これはまた難しいので別の回に説明しま す。)乳酸蓄積量が安定しなければ、そもそも公式で選手のタイムを予想することは不可能ですね。つまりクリティカルスピード以上で選手が泳いだ時は、過度 の乳酸蓄積が起こるためのタイムは予想できなくなります。 そして一人の選手がもっとも効率よくレースを泳ぐためには、タッチした瞬間が最大乳酸値となるペースで泳ぐことではないかと思います。(すいませ ん。これは私がそう思うだけかもしれません。博士には確認していません。)それがクリティカルタイムを用いれば算出できるということです。 最後に、先に紹介した公式でいくと、クリティカルタイムが速くて100mのタイムが早ければ1500mも速いことになりますが、これではみなさんは経験上納得できないと思います。つまり上の式で1500mを予測するためには、200mの乳酸値が8m mol/l以下の選手であることが必要になってきます。スプリンターであれば200m泳いだ後に15m mol/lという選手もいるようです。こういった選手にはこの公式が当てはまらないことになります。

<ハートレイトセットを行う>
実際にハートレイトセットをどのように行うかについて説明します。 このセットは全体の所要時間を40分、そのうち30分のスイムとしてセットを組みます。クリティカルスピードに近いスピードで、心拍数を最大心拍 数と最大心拍数マイナス10拍をターゲットゾーンにして、タイム、心拍数を全て記録しながら、ディスタンスの選手は週3回、スプリンターは週2回行い、そ の適応を促すものです。 これだけの説明ではよく分かりませんよね。最大心拍数は?クリティカルタイムの設定は?と、なかなか難しいと思います。実際に現場で行えるようにもう少しやさしく説明しましょう。 もうすでに皆さんは最大心拍数の測定を済ませていますか?。このセットは、自分の最大心拍数が何拍であるかということを知っていなければいけません。ちょっと復習して、最大心拍数の測定方法をおさらいしましょう。

 200m X 5t on 5'

 200メートルを5本、200mはそれぞれイーブンペースで、最初の1本目はイージーで、1本づつディセンディングしていきましょう。心拍数は泳 ぎ終わった直後からすぐに回復していきますから、壁にタッチしたら4秒以内に測定するのが理想です。このため、オーストラリアではハートレイトモニターと いう機械を使用して心拍数を測定しています。 こうして測定したうちの最後の1本の心拍数を、その選手の最大心拍数とひとまず仮定します。このセットから、100mのおおよそのクリティカルタ イムを、”最後のタイムを2で割った時間”(100mラップタイムともいえますね)とひとまず推測します。これらの数字をもとにハートレイトセットを行っ てみましょう。 ハートレイトセットは、レスト時間を合わせたセット全体にかかる時間を約40分ほどに、そのうち実際に30分を泳ぐ、を目安にセットを組んでみて ください。例えば、100mを24本、1分40秒サイクルで行ってみる、という具合です。(これはパーキンス選手が実際に行っているセット例です)
 もちろん選手のレベルにより、サイクルも本数も変わってくると思われますので、そのレベルに合わせて1つのセットを組んでみてください。
 タイムの目標=先ほど推測したクリティカルタイムに近いタイム、心拍数=最大心拍数から最大心拍数のマイナス10程度、をターゲットゾーンにして 泳いでみてください。かなりハードなセットになるのではないでしょうか。この同じセットを定期的に行って心拍数とタイムを記録していきます。そして、記録 は表にして管理していきます。

例)

100m X 24t on 1'40"
No.
Time
H.R.
1.
58"3
147
2.
58"5
158
3.
58"4
164
4.
57"9
163
5.
58"5
164



 このような形でタイムと心拍数を記録していってください。初めは記録するものが多くてとまどうかもしれませんが、適応段階を知る上で重要なデータ となりますので、がんばって慣れるようにして下さい。オーストラリアでは、水に濡れても記録を書き込むことができる特殊な紙を使って、選手自身が記録を書 くようにして練習を行っています。この紙も実はトレフィン博士が開発したものです。
では、ハートレイトセットを行ったときに記録を取っておいたデータをどのように利用するのでしょう。 結果的には選手の適応段階を知るために利用するということなのですが、これだけでは不親切ですので、もう少しわかりやすく説明する必要がありますね。 当たり前のこととは思いますが、同じ人が同じタイムで泳いだのであれば、心拍数は低くなったときのほうがよいといえますね。しかし、このよいと言 うのはなにをよいと言っているのでしょうか? 同じ人が同じタイム泳いで心拍数が低くなるには大きく2つのパターンが考えられますね。例えば泳ぎ自体が上 手くなった場合、つまり、下手なフォームで泳いでいた選手がきれいなフォームで泳げるようになった場合、同じタイムで泳いでも以前より楽に泳げるようにな りますね。このとき心拍数は低くなるといえます。 このことはみなさんも経験上、簡単に理解できることですね。つまり、心拍数から泳ぎのスキル、技術のレベルがあがったかどうかとうことが分かります。

 しかし、ハートレイトセットは生理的適応の段階を予測するために行っているとすれば、このような泳ぎの習得段階の選手にというより、もう少しレベ ルの高い状態のスイマーのトレーニングと言うことがいえます。では、とりあえずフォームが一定したレベルの選手を対象にして考えてみましょう。 一人の選手が以前泳いだときと同じタイムで泳いだとき心拍数が低くなっていれば、選手の心肺機能や筋力など、つまり、フィットネスレベルがあがったと言うことがいえますね。

 このことも簡単に理解できると思います。以前はつらかった練習もやっているうちにあまりつらく感じなくなったりしたことは何度も経験していると思います。つまり、心拍数が少なくして同じ練習ができるようになったと言うことですね。 わかりやすくするためにデータをグラフにしてみましょう。このグラフの右の移動が、選手のフィットネスレベルの向上を意味します。しかし、以前に も説明した通り、体力レベルが上がる前に、一旦レベルが下がるという事があります。 グラフで説明すると右にグラフが移動する前にいったん左に移動してから右に移動するということです。

 このグラフの移動をみることにより、適応段階を予想します。
でも、ハートレイトセットは、ディスタンスの選手は週3回、スプリンターで週2回行っていますので、それを全部グラフにするのは大変ですね。オーストラリ アの多くのチームは週に一度、ハートレイトセットとは別に、ハートレイトテストとして適応段階を知るためのセットを別に行って、そのデータをグラフ化して 管理しているようです。

ハートレイトテストの例
  100m X 8t

 こんな感じで、毎週1つづつグラフを作成してみましょう。こうやってグラフを記録していくうちに、グラフの動きに定期的な変動があることに気づいてきます。 例えば左にずれたり、右にずれたりが3週間のサイクルで起きているとしましょう。トレフィン先生はこのサイクルをミトコンドリア適応のサイクルと呼んでいます。このほかにもっと大きなサイクルでの適応のサイクルに筋適応があります。 こういったサイクルを把握することにより、試合で選手の実力を100%発揮するために役立てるワケですね。 次回はこのサイクルについて説明します。

<適応段階について>
「練習をしないと試合でいい結果が出せない。」とか「トレーニングをすると早く泳げれるようになる。」何てことは皆さん十分解っていることですね。 そのことを目に見えるようにハートレートとタイムをグラフにすることを前回までに説明しました。このグラフが右にずれていけば低い心拍数で早く泳げるよう になったと言うことになります。

 ですから、グラフが右にずれていけば練習の成果が出ていると言うことになるのですが、実はグラフを継続してつけていくと右にグラフがずれる前に いったん左にずれる期間があって、そのあと右にずれていくという一つのパターンがあることが解るようになります。この期間を適応段階と呼びます。 つまり、一定のトレーニングの後、体の中では様々な生理学的変化が起こっている期間があり、グラフがいったん左にずれている間はこの適応段階の期間中と言うことになるわけですね。 では、身体のなにが変化しているのでしょうか?これは皆さんの体内のミトコンドリアというものが増加しているサイクルと考えられています。 このサイクルは約10日間あります。ミトコンドリアは酸素とグリコーゲンを使ってATP (アデノシン三燐酸)を生成する働きを持っています。 ATPは簡単にいうと筋収縮のエネルギーだと思ってください。ミトコンドリアは一つの細胞が分裂して半分になります。そして、その半分の細胞は約10日間 かけてそれぞれ一つの細胞となり、あわせて二つの細胞に増えます。すなわちミトコンドリアは10日間かけて分裂し、形成し、増加するのです。その後、以前 より低い心拍数で泳げるようになり、グラフはもとの状態より右にずれ、皆さんの泳ぎはレベルアップしていくわけですね。

 さて、このミトコンドリアの分裂から新しく形成されている間、気をつけなければならないことが三つあります。その一つはこの間他の細胞などの働き も弱まっているため、かぜなどの菌に対する抵抗力が薄れていると言うこと。もう一つはミトコンドリアの形成には鉄分の摂取が必要と言うことです。もっと も、鉄分などの栄養補給は普段から気をつけておくべきですね。 もう一つは、この期間中は有酸素能力が一時的に下がることです。ですからグラフは左に動くわけですね。この間もハートレイトセットは行いますが、 少し負荷を下げてください。いつものセットより心拍数を10拍くらい下げて行いましょう。そうしないとこの10日間というサイクルがずれたり長引いてしま う可能性があるからです。 この適応段階はトレーニング期だけではなくテーパー期にも起きることがあります。ということは、もし、適応段階期間中に試合があったらどうなるの でしょう。これは大変ですね。持っている実力を出せずに終わってしまいます。ですから、ハートレートセットはレースのために、この「適応段階を予測する」 という重要な目的があるわけですね。

 では、レースまでに後10日間もないときに選手の適応段階を始まり、レースまでにそれが終わらないと解ったらどうしたらいいのでしょう。この質問は博士が来日した際、東京会場で実際にでた質問でもあります。そのときの博士の答えは 「こういったときは祈るだけ…」 と言うのは博士の冗談で、、
実際にこういう選手がいた場合は 「最大心拍数より50拍以下のスイムを行ってください。このような遅いスピードでは体内の毛細血管が開きやすくなりますのでミトコンドリアの変化のスピードを少しは助けることができるはずです。」 とのお答えでした。 このようなことにならないためにも、コーチはタイムとハートレートのデータから適応段階を常に予想し、レースで選手の実力の全てを発揮させるために練習の計画を立てなければならないですね。

<ハートレイトセットまとめ>
実は博士が2度目に来日された1997年のとき、こんなエピソードがありました。 「どうしても見せたいビデオがあるまだ少年なのだが 才能がある、とてつもなく強くなる。」 と1本のビデオを取り出しました。
ビデオデッキは用意したのだけれどビデオデッキに入れても写らない。 どうやら電圧?の違いで写らないらしい。 どうしても見せたいと言うことでがんばったのですが、 結局写りませんでした。この少年が誰であるかは皆さんも察しがつくことともいます。その3年後のシドニーで世界記録を連発した選手が行ってきたトレーニングがハー トレイトセットということですね。
とりあえず今までの説明したことをチャートにしてみましょう。
トレーニングとTQM
選手の最大心拍数を測定する

例 200m x 5t   5'
  200m x 3t   5'
コンスタントに(一定のスピードで)1本ずつディセンディングで.
選手のクリティカルタイムを算出する

 

クリティカルタイム=初めて最大心拍数に到ったときのスピードまたはタイム
タイムと心拍数のグラフと選手の最大心拍数のグラフが交わった点がクリティカルスピード(タイム)
ハートレイトセットを行う
 No.   Time   HR 
1 58"7 147
2 58"3 156
3 58"4 162
4 58"5 164
5 58"7 172
週2回、ディスタンスは3回ハートレイトセットを行う。(筋グリコーゲン回復のため)セットは40分の内30分泳ぐようなセットをくみ、定期的に同じセットを行う。ハートレイトのターゲットは最大心拍数マイナス10拍   例 100X24t on 1'40"
ハートレイトをグラフ化し管理する
ハートレイトとタイムはボブ・ペーパーなどを使って選手自身にすべて記録させ、できれば選手自身でグラフを作成させ管理させる。
グラフが左にずれたとき適応段階を向かえる。
週1回 100m x 8t 適応段階予想
選手の適応サイクルを把握する

3週間サイクルの適応段階を把握して、オーバーワークにならないようにワークアウトをくむ。
   P・D・Tサイクル → TQM
試合でトレーニングの成果を100%発揮させる

トレーニングシステムを TQMという経済用語に例えて紹介しています。一般的には商品品質管理などに使われる言葉ですね。
PDCサイクル(プラン・ドウ・チェック・サイクル)をつかって「計画を立て実行し効果を確 認する」そしてその反省点を次の計画にもりもむ。そのサイクルを繰り返すことにより水泳で言 えば選手の適応段階の予測を確実にしていくと言うことです。

ですから、次の目標の試合までを1つのサイクルと考え、何度も行っていくうちにそのプランは 確実になっていきます。もちろん選手一人一人違ってくるはずですので、 このデータをもとに各選手の適応をそれぞれ予測します。また各選手自身も自分の適応段階につ いて理解することが出来るわけですね。


商品紹介


.ボブ・トレフィン博士が開発した、オーストラリアのナショナルチームで使われているハートレートモニター。心拍を2拍取るだけで瞬時に心拍数を測定できる機械です。選手の体にコードについたス ポンジを当てるだけで簡単に計ることができます。ハンディータイプで取り扱いが簡単な上、1台で多くの選手の心拍数を計ることができます。



ハートレイトモニター 注文する
価格42000円(税込)

防水仕様になっており、プールサイドに置き1台で多くの選手の心拍数を計れます。モニターに付いているコードのうち黒いコードをプールに入れ、もう1本の赤いコードの先に付いているスポンジを濡らし胸に当てるだけ測定できます。脈拍に合わせて、1泊1泊数字が出ますので、最大心拍数(各自数字が異なります)を計るのには最適です。

製品仕様
(1)4隅のネジを外し9Vの電池を内側金具に取り付けてください。
(2)右側緑のツマミで感度を合わせます。正しく計れているときはサインがフラッシュします。
(3)1拍/分から240拍/分まで計れます。
(4 )0.5―10mvの感度で、T派を最小限に抑えています。
(5)8cmX6cmX16cm 300g

製造元)HEART RATE INDUSTRIES

本商品は水泳トレーニング用のスポーツ用品です。薬事法に定める医療用具ではありません。
測定値はあくまでも目安としてお使い下さい。


ボブペーパー(耐水性特殊樹脂ペーパー)

(A4版 20枚) 完売:輸入終了しました。

 完売:輸入終了しました。

ボブペーパーは水に濡れた状態でも鉛筆で記録を記入することができ ます。また、不要になった記録は消しゴムで消し、何度も使用することができます。
ボブペーパーはコピー及びワープロ印刷が可能なので、独自 のフォームを作成することができます。最近の水泳トレーニングでは、タ イムのほかにハートレートの記録等、従来より多くの記録を取るようにな っています。それらの記録を選手自身が記入すれば、コーチは選手のフ ォームなどに集中でき、より効率的な練習ができます。

お知らせ。

ボブペーパーは輸入終了しました。
理由:国内で使用に十分な耐水紙が安価であるため。

ボブペーパーに変わる物として試しましたが、十分とおもいます。価格は50枚で1300円ほどです。
(弊社では取り扱っておりません。)
最寄りのパソコンショップにて購入ください。

LBP用耐水強化紙・標準・A4・50枚 LBP-WP110 (コクヨS&T)

送料無料で送らせていただきます。代引き手数料250円が別途必要です。
尚、4000円以上お買上げの場合は代引き手数料も無料サービスさせて頂きます。

最終更新日:2011/12/27

写真は実物の写真ですが、色合い等若干の違いがある場合があります。
また、プリントをする事を想定して作成しておりませんので、印刷したものを観覧してのご注文はカラーの違いなどのトラブルの元になりますのでご注意下さい。

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